フジスレート株式会社は徳島県にて1945年創業された屋根材などの製造メーカーです。前身である合名会社琴平工業所徳島工場(香川県)は、徳島市庄町にて創業しました。1949年3月には、「富士スレート工業所」と改称し、本社を徳島市佐古に移転。今では日本を代表する高品質屋根材メーカーとして成長し、ベトナムを中心に早くから海外事業の展開も行われています。
常に時代の新しいものづくりメーカーとして、国際人材の採用や育成、地域交流事業にも取り組まれており、弊社リレイションがおこなってきた神山塾の企業実習会社としても、常にご協力いただいています。現在本社は徳島市北島町にあります。
近年では経済産業省令和4年度製品安全対策優良企業表彰(PSアワード) 中小企業製造事業者・輸入事業者部門 優良賞(審査委員会賞)など数々の賞を受賞されています。
フジスレート株式会社 馬渕祐三社長
フジスレート社の主な事業は、製瓦製造システム(設計・施工・販売)、太陽光発電(取り付け事業も含む)、瓦用塗料販売、屋根施工工事などです。
その中でも代表的な商品は、エアルーフ。
地震・台風など自然災害の後で、瓦が割れる、飛び散るなどは大きな問題です。エアルーフはその問題に対応したハイブリッド瓦商品で、耐風性、防水性、耐震性、快適性、耐震性の機能を備えています。
「人(社員)」を大事に思う会社
馬渕社長ご自身が、学生時代の様々なアルバイトや社会人経験のなか、大企業より中小企業、中小企業の中でもファミリー企業で働きたいと思った、とお話いただきました。
理由をお聞きすると「会社の事業にエネルギーを持って取り組むには、主体性や自分ごととして考えることが必要。身内であればあるほどそのエネルギーが湧きやすいから」とのこと。
中小企業は絶対的に人数が少ないなかで、主体的に取り組めなければ、常にやりたくない仕事をやらされている感覚を持って過ごすことになってしまう。その違和感は大事にしたほうが良く、この会社と自分が合わないと感じたら、お互いが無理し続けるのではなく次にいけばいい、と考えているそう。
だからこそ、いま会社に残る決断をしてくれている社員のことは家族のように感じているといいます。
会社内のマッチング率=安心感の高さはなぜ?
フジスレートでは、家族2代、3代の世代にわたって、同じ会社で働き続けている職人さんや、スタッフの方々がいます。ずっとあの会社と関わりたい、仕事をしたいという想いは、「会社と共に生きていきたい」という想いの現れではないでしょうか。
想いだけではなく実際働き続けられているということは、福利厚生や勤務外でも使える保険制度はもちろん、馬渕社長の代になってから作った「自分で選べる」9つの働き方の選択など、お互いが納得した状態(企業内マッチングがうまくおこなわれている状態)で働いていられる環境があり、それが安心に繋がっているのではと感じられました。
<9つの働き方>
①役員幹部コース②事業所長コース③経営者コース④エキスパートコース
⑤一般社員コース⑥時間社員コース⑦相談役コース⑧出向社員コース⑨顧問コース
すだちインターンの取り組み
富士スレートさんとリレイションの共同の取り組みとして、「すだちインターン」という取り組みを続けています。
内容は馬渕社長のご親戚のすだちを収穫して、お得意先に送るというものです。
「リレイションと共同でこの取り組みを行うことで何か変化はありましたか?」とお聞きすると、
「今までは親戚一族の行事みたいで参加しにくかった、と話していた社員が、リレイションに協力してもらうことで、社外のほかの参加者もいる状態になり、社員たちがいろんな人と話す機会を得ることで学びが多かった。それに『収穫しました!』とメッセージを添えてお得意先に担当の社員が送り反応が帰ってくることで、自分がしたことで感謝される喜びを感じてくれた」とお話いただきました。
社員の方が主体性を感じるきっかけになったイベントです。
要らないもので新しいを作り出す〜未来への新たな取り組み〜
現在フジスレートでは、2030年までに循環廃棄物材料(廃棄物を循環させる・ゴミを出さないという考え方)を原材料に30%使用することを目標とする、「サーキュラーインプット30 2030」という取り組みを始めています。
工場内の水は100%循環して使用されていたり、環境負荷の大きい塗料剤の有機溶剤の塗料を使用せず、100%水系塗料に変更されています。
廃棄物材料からアートへの転換
廃棄物を減らす・出さない取り組みは、他の会社や社会的にもおこなわれていることですが、その廃棄物を更に循環させる考えや、それを材料に、アート作品へと変換させる考えは、79年間「変化しつつ」も常に「ものづくり」を続けてこられて、「楽しむこと」を忘れず、未来を予測し挑戦し続けているフジスレートさんならではの価値観だと感じました。
もちろん創業当時から販売している瓦の部門でも、阪神大震災を機に1998年には全製品を完全防災軽量瓦(40%割れない瓦)へシフトチェンジ。
原材料を高品質の砂セメント・アスベスト不使用の合成繊・環境負荷の少ない水系塗料に変更した、FRC素材の軽量ハイブリット瓦エアルーフシリーズの販売を開始するなど、常に時代のニーズを知り、挑戦し続けてきたフジスレートの想いが、どの取り組みからも感じられます。
変化と挑戦を身の丈で
HPの中で何度も出てくるこの言葉。その意味を馬渕社長にお聞きすると、
「時代も時間も場所も常に変化するんだよ、だから時代の求めるものに合わせて負荷をかけて、変化しないと適応できない。例えば5しか変わらなくてもいいのに、身の丈(メモリ)を超えて20も変化しようとすると崩れてしまう。その原因はゴールが見えてないからなんだな。変化の量も自分の目盛もわかってないと。身の丈を超えないことが重要だよ」
「でもな、みんな変化しないんだよね、変化って結構しんどいから」と馬渕社長。
「人間は普通に生活してると、例えば結婚や出産など状況が変化することによって、それに対応するために自分自身もせざるをえなくなる。でも会社は人間のように変化しなくてもいい。だから自分たちで常に考えて、社会のニーズに合わせて、人間でいう節目のようなターニングポイントや決断を自分たちで決めて変化しないと、ずっと変われないんだと思うよ」と馬渕社長
未来をつくる世代へのメッセージ
馬渕社長に若い人へのメッセージをお聞きすると、
「熱量をぶつけるものを持て!」とお話いただきました。
仕事以外のことでも良いそうで、例えば社員さんの中でも、プライベートで野球チームの監督をされていて他のことでも「挑戦慣れ」していることが、結果的に仕事に生きてくると思うけどね、といつもの大きな笑顔でお話いただきました。