ティーアートワークス株式会社って?

埼玉県川口市にあるティーアートワークス株式会社。タイル業をはじめ、左官や外構工事など、モルタルを扱う多角的な事業を展開しています。

社名に込められた思いから始まり、事業承継の背景、過去の挑戦と学び、そして今後の展望に至るまで、多岐にわたる内容を社長の小熊隆夫さんにインタビューしました。

創業から現在までの歴史

小熊社長は3代目として事業を継承されました。幼少期から住み込みの職人さん達と過ごし、タイルという仕事が身近な存在であったため、この仕事に抵抗はなかったそうです。しかし、1990年代のバブル崩壊やリーマンショックといった経済の波に揉まれ、2代目であるお父さんの代で職人さんが一人になった時期があったといいます。この状況を見て、「このままでは老舗のタイル屋が続かないかもしれない」という危機感が、小熊社長にタイル業を継ぐ決意を促しました。

高校時代はバンドに熱中し、高校卒業後も音楽活動を継続されていましたが、兄からの「やるなら中途半端にやるな」という言葉に背中を押され、23歳の時に本格的に家業を継ぐことを決意されました。音楽活動には終止符を打ち、タイル職人の道に専念されたのです。この決断の背景には、母方の親族である有名な靴職人からの「お前の親父の仕事は尊敬に値するアートだ」という言葉も影響を与えていました。

社名に込められた思い

小熊社長は、社名「ティーアートワークス」の由来について語ってくださいました。2011年に法人化する以前、1943年創業の「小熊タイル工業所」という屋号で、82年という長い歴史を誇る老舗でした。しかし、法人化にあたり小熊社長は「タイルしかできない」という創業当時のイメージを払拭し、より広範な事業展開を志したそうです。

社名の「ティー」には、「トータル(Total)」「タイル(Tile)」そしてご自身の名前である「隆夫(Takao)」という3つの意味が込められています。また、「アート」は、タイル発祥の地であるヨーロッパで「アートモザイク」という言葉が使われることに由来しており、タイルを単なる建材ではなく、芸術的な表現手段として捉える小熊社長の想いが反映されています。そして、最後に付け加えられた「ワークス」は、職人としての誇りを忘れず、常に現場での施工の気持ちを大切にするという決意を表しています。

昔ながらの技術と新しい工法の融合

ティーアートワークスの強みは、昔ながらのタイル施工技術と新しい工法を積極的に融合させている点にあります。特に、現在ではほとんど見られなくなった「浴槽を設置してタイルを貼る」といった昔ながらの工法にも対応できる一方で、新しい素材や技術も躊躇なく取り入れています。

また、タイル業だけでなく、左官や外構工事など、モルタルを扱う多角的な事業も展開しています。これは、社名にある「トータル」の概念を具現化したものであり、顧客の多様なニーズに応えるための戦略です。

失敗から学んだ教訓と「人との出会い」

小熊社長は、失敗から多くを学んできたと語られました。特に、仕事が激減した時期に他社の現場に出向し、様々な職人と接する中で、多くのことを吸収されたそうです。この経験は、自分自身の技術を磨くだけでなく、人との繋がりを深める上で貴重な財産となりました。

小熊社長は、今の自分があるのは「人との出会い」のおかげだと断言されます。特定のゴールや計画を立ててきたわけではないけれど、その時々の人との出会いが、常に新しい道を開いてくれたといいます。また、物事の本質を見極めることの重要性を説かれました。上辺だけの情報に惑わされず、相手の真意や物事の根底にあるものを理解することで、より良い人間関係や仕事の成果に繋がると考えているそうです。

この仕事を通じて多くの人と出会い、様々な経験を積んでこられた小熊社長。時には失敗し、大切なものを失ったこともあるそうですが、その全てが今の自分を形成しているといいます。人との信頼関係は、時間をかけて築かれるものですが、一つの言葉や態度で一瞬にして崩れてしまうこともあります。だからこそ、常に考え、誠実に向き合うことが大切であると語られていました。

「先にある笑顔のために」

ティーアートワークスの理念「先にある笑顔のために」は、職人として仕事に真摯に向き合ってきた小熊社長の経験から生まれた言葉です。自分が苦労して作り上げたものが完成し、それを見た顧客が「すごい」と喜んでくれる瞬間のために仕事をしているのだと。この「笑顔」は、単なる顧客の満足だけでなく、それまでに至る過程、自身の努力の先に生まれるものであり、常に純粋に、素直にその思いを忘れないようにと心に刻んでおられます。

今後の展望

小熊社長は、今後の展望として「タイル業界の継承」を挙げられました。ご自身の子どもや若い職人たちに技術を伝えていきたいという思いがあるそうです。その一環として、「タイル教室」のような取り組みも構想しておられます。地域貢献にも繋がるこの活動を通じて、タイルという伝統的な技術の魅力を次世代に伝えていきたいと考えていらっしゃいます。

また、タイルは「映える」素材であり、完成した時の見栄えが他にはない魅力であると語られます。特に、店舗の内装やカウンターなど、その空間の中心となる部分にタイルを用いることで、お店の「顔」を創り出す責任と喜びを感じているそうです。今後は、完成形だけでなく、泥臭い作業工程も積極的に発信することで、タイル職人の仕事の奥深さも伝えていきたいと語ってくださいました。

これからの社会で挑戦する若者たちへ

最後に、小熊社長はこれから何かに挑戦しようとする若者へのメッセージをくださいました。

「まずは、できない理由を先に言わないこと。無理だと思っても、一度飲み込んで、どうすればできるかを考える習慣を身につけてほしい」

この言葉は、ご自身の経験から生まれたものです。かつて、多忙な中で海外旅行へ行くことを決意し、仕事を手放すという大きな決断をしたことがありました。その時、「海外に行く」という目標を先に決めたことで、それを実現するための方法を考えるしかなかったそうです。結果、それが新たな仕事のきっかけとなり、事業の転機となりました。

人生における決断は、常に「正しい」とは限りません。しかし、一度決めたことを「正解」にするために努力することが重要であると教えてくださいました。目の前の安定を手放す勇気と、挑戦し続ける心が、道を開いていくのです。

ティーアートワークス株式会社 HP

https://oguma-tile.com

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