ウスクラ建設株式会社って?

東京・江東区で、地域とともに成長を続ける工務店があります。明治16年創業の「ウスクラ建設株式会社」です。「笑顔を増やす家づくりを」という思いのもと、長年培ってきた施工力を活かし、地元の人たちの暮らしを支えています。近年、物価高や不動産高騰など業界の状況が悪化する中、ウスクラ建設では、新規事業や積極的な新卒採用などに力を入れています。2024年12月には、新社屋1階に立ち飲み屋もオープン。挑戦を続ける原動力はなんでしょうか。5代目社長の薄倉雄一郎さんに話を聞きました。

 

141年の伝統とともに


ウスクラ建設は、棟梁で初代・定次郎氏が創業しました。3代目の曾祖父・信次郎氏の代では、関東大震災や空襲を経験。地域の復興事業を支え、多くの人たちの暮らしに密着した取り組みを続けてきました。会社の強みの一つが施工力です。自社で大工を雇用することで、家づくりの最初から最後まで責任を持ち、細部までこだわった作業を心がけています。父信和さんからバトンを受け継いだのが、5代目社長の薄倉さんです。100年を超える伝統を受け継ぎ、2011年に新たな一歩を踏み出しました。その当時、社員9人でのスタートでしたが、薄倉さんは「不安もありましたが、地域の皆さんに支えられてきました」と振り返ります。

お客様の笑顔をつくる

「笑がおの家ものがたり」。ウスクラ建設が掲げる企業理念です。注文住宅の新築をはじめ、デザイン性を向上させるリフォームやリノベーション、ペットと快適に暮らせる住まいづくりなど、顧客に寄り添った事業を手がけています。「笑顔をつくり、笑顔を増やす」。こうした思いのもと、お客様一人ひとりと向き合うことを大切にしています。

薄倉社長 「何をするにしても地域に笑顔を増やすことが最優先です。ウスクラ建設では、工事が完了した後からお客様との本当のお付き合いが始まると思っています。地域の人たちがいるからこそ、私たちがいます。ちょっとした困りごとがあった時、『ウスクラ建設に頼もう』と気軽に言ってもらえるような存在でありたいです」

地域の絆、ウスクラ建設の感謝祭

ウスクラ建設では、毎年、地域への感謝を込めて「感謝祭」を開催しています。実に40年続く息の長いイベントとなっています。子どもが楽しめるようにと大工体験ができるほか、縁日やバーベキュー、チャリティーセールといった様々な催しを開催。笑顔が溢れる1日になります。

――40年も続けているのは驚きですね。
「父が始めたもので、私も引き継ぎました。最初は『こんなこと続けられるのかな?』と思いましたが、やはり地域の方々が楽しみにしてくださる姿を見ると、続けてよかったと思います」

――感謝祭を通じて伝えたいことはありますか
「地域の方々への感謝の気持ちです。そして、それだけじゃなく、私自身が楽しんでいるんですよ。お酒を飲んだり、交流したり。会社はただ利益を追求するだけじゃなく、地域のコミュニティーハブであるべきだと考えています」

積極的な新卒採用 若き力とともに次世代へ 

地域を支える上で、大切になってくるのが人材です。ウスクラ建設では近年、新卒採用を積極的に行い、若手の人材の育成に力を入れています。2024年は、新卒5人が入社。ことしも2025年卒業の学生が入社する予定です。あらゆる業界で人手不足が課題となる中、採用が増えているのはなぜでしょうか。

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――新卒採用を積極的に行っているそうですね
「そうですね。ここ数年で採用活動を強化しています。会社を大きくしたいという中で、ただ単に人を増やすのが目的ではありません。ウスクラ建設の想いとか理念、軸がはっきりしてきました。こうした理念に共感して、一緒に働きたいと思える人を増やしたい」

――採用の場ではどのようなことを重視されていますか
「料理教室やバーベキューなど、ちょっと変わった採用活動をしています。食事を作ったり一緒に食べたりする中で、その人の協調性や主体性を見たいです。もちろん、全員が合うわけではありませんが、それも含めて挑戦しています」

――若い世代はどのように見えていますか
真面目だと思います。大人しいという感覚がありますが、私の周りには『やりがい』を持っている若い子たちが多いです。お金というより、人の役に立ちたいとか、『自分これをしたい』という芯というものでしょうか。最近、定年まで働かないという声も少なくありません。今、仕事とプライベートを分けたワークライフバランスも大切にされている。こうした中で、私は、『仕事が楽しい』って思えるような会社にしたいです」

――薄倉社長の社員の向き合い方は
「うちはアットホームな会社だと思っています。名前の呼び方とかも。自分の子どもたちという感覚でしょうか。また、妻の支えも大きいです。私の考えを妻がかみ砕いて、若い社員たちに伝えてくれているみたいです。社員の目線と経営者の目線はどうしても違ってきます。それぞれ個人の考えもあります。そうした中で、若い人たちの活動を支援したいという気持ちを持っています」

社員をつなぐ“社長飯”

「若い社員を支えたい」という思いから始まった取り組みがあります。それが“社長飯”です。ある日、残業をしていた1人の女性社員が、おにぎりとカップラーメンを食べているのを目にした薄倉社長が、少しでも健康的な食事を届けたいと始めました。毎日、朝4時半に起きて、20人余りのランチを作っているそうです。

――社員への食事提供を始めた理由を教えてください
「残業時の不健康な食事が気になっていました。だから、毎日炊きたてのお米や栄養バランスを考えた食事を提供しようと思ったんです。毎日朝早いですが、これが意外と楽しかった(笑)。社員同士の会話も増えて、コミュニケーションが活発になりました」

――社員の反応はいかがですか?
「喜んでくれていると思います。私も早寝早起きができて、血圧が下がりました(笑)」

ウスクラ建設が描く「これから」


物価高の影響や人材不足など市場環境は厳しい時代を迎えています。こうした中、ウスクラ建設では、他の会社には真似できない、大工としての施工力を生かした仕事を続けていきたいと考えています。何より、1人でも多くの人の笑顔を増やすためです。最後に薄倉社長に大切にしていることと、これからの展望を聞きました。

――今後、ウスクラ建設が目指す方向性について教えてください
「暮らしに関わる事業は無限に可能性があります。空き家問題の解決や宿泊事業など、新しい分野にも挑戦していきたいですね。こうした事業に取り組むことで、地域の笑顔を増やしていきたい」

――具体的な取り組みは何かありますか
「新社屋の1階に立ち飲み屋をオープンしました。地域の交流の場になればと考えています。一角で野球観戦ができたり、子育て中のお母さんがふらっと立ち寄ったりできるスペースにもなっています。こういう身近な取り組みが、地域全体の活性化に繋がると信じています」

――社長が大切にしていることを教えてください

「誠実さと、約束を守ることです。小さなことでもやり続けることが大事。これが、地域や社員との信頼関係を築く基礎になると思っています」

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